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【官民共創で生まれた価値】神戸市×イーデザイン損保『AI技術で目指す、人気夜景スポットの交通課題の解決』

2023年10月09日

【官民共創で生まれた価値】神戸市×イーデザイン損保『AI技術で目指す、人気夜景スポットの交通課題の解決』

この記事では、2020年に兵庫県神戸市で行われた官民共創プロジェクトについて取り上げます。安全な交通環境・社会の実現を目指すイーデザイン損害保険株式会社(以下、イーデザイン損保)と人気の夜景スポット周辺の渋滞や路上駐車を解決したい兵庫県神戸市。この両者が官民共創プラットフォーム「逆プロポ」にてマッチングし、本プロジェクトの始動へと至りました。

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目次

BEFORE観光地・神戸市に発生した「交通」の課題

兵庫県神戸市にある「摩耶山掬星台」は、ミシュラン・グリーンガイド2つ星を獲得した観光地です。そこから見える夜景は、日本三大夜景として知られています。

しかし、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う屋外空間での余暇を求める来訪者が増加したことで、以前よりも駐車場待ちによる渋滞や路上駐車が増加。さらに、地域観光ビジネスへの障害など、さまざまな課題が発生しました。

一方、“自分が無事故でいる時には、保険(会社)の価値を感じづらい”という顧客からのリアルな声に対し、顧客の暮らす街や地域の交通環境づくりを支援することで応えたいと考えたイーデザイン損保は、「安全な交通環境・社会の実現」をテーマに、官民共創マッチングプラットフォーム「逆プロポ」にて共創自治体を募ります。

神戸市が抱えている課題と、イーデザイン損保の募集テーマがマッチしていたため、プロジェクトの共創へと繋がりました。

 

 

PROJECTプロジェクトのステップ

イーデザイン損保は「逆プロポ」のスキームを通じて神戸市に寄付金を進呈。神戸市は地域の企業や教育機関と連携し、イーデザイン損保の寄付金を財源に課題解決(実証実験)に挑みました。一連のプロセスは以下になります。

 

①地域のIT企業や教育機関と連携

「神戸市企画調整局つなぐラボ」が地域のIT企業や教育機関と連携。アクティブ・ラーニングによるデジタル技術の習得と混雑状況の可視化・情報発信を行う人材育成と地域課題解決に向けた取り組みを一気通貫で行う体制を構築しました。

 

②地域の高校にAI等テクノロジーの授業を実施

神戸市立科学技術高校3年生の課題研究の一貫として、AI画像認識の授業を実施。「摩耶山掬星台」付近の道路の分析を高校生たちが行うための準備を進めました。

 

③高校生たちによるAI技術を使った「摩耶山掬星台」付近の道路の分析および情報発信(実証実験)

渋滞による混雑や路上駐車が発生している「摩耶山掬星台」近くにカメラを設置し、画像データの収集と分類を開始。地域のIT企業の協力のもと、画像から道路の混雑状況を識別できるシステムを構築しました。また、システムとX(旧Twitter)を連携し、リアルタイムで渋滞発生情報の配信を行いました。


④取り組みの振り返り

本プロジェクトの振り返りが関係者間で行われました。

 

参考:イーデザイン損保「観光地の道路混雑AIツールを高校生が研究」

 

 

OUTCOME官民共創で生まれた価値

本プロジェクトは、地域の人材育成と課題の解決を一気通貫で行ったのが特徴的です。官民共創の先進自治体である神戸市ならではのアイデアが実現しました。

高校生たちは実践を重視したアクティブ・ラーニングにより、先端技術活用の可能性を肌で感じることができました。また、自らの活動が地域の課題解決に貢献したという達成感も、地域の人材育成という観点で大きな成果でしょう。

高校生たちが運用した渋滞発生に関するSNSのアカウントはフォロワー数も伸びたとのことです。情報の受け手の行動変容につながりました。


本プロジェクトについて、神戸市 企画調整局 つなぐラボ 担当部長 藤岡健さんはこう答えます。

「この度の取り組みは、スマートシティに向けた取り組みの一環ともなります。実証実験で得られた渋滞傾向のデータを分析し、その結果を市民のQOLや利便性の向上につなげていけるよう取り組んでまいります。」

 

 

AFTER終わりに

兵庫県神戸市とイーデザイン損保による、官民共創プロジェクトをご紹介しました。

自治体、民間企業2社、そして地域の高校と、多様なステークホルダーが関わった本プロジェクトでしたが、それぞれが強みを活かした結果、人材育成と地域課題解決の両面でアウトカムが生まれました。官民共創の可能性の大きさを感じられる事例です。