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「骨折0(ゼロ)のまち」を合言葉にプロスポーツクラブと自治体が共同で行う健康プログラム!

2023年10月15日

「骨折0(ゼロ)のまち」を合言葉にプロスポーツクラブと自治体が共同で行う健康プログラム!

Jリーグ所属の大分トリニータを運営する株式会社大分フットボールクラブ(以下、大分FC)が、自身が持つスポーツに関する専門知識を活かし、広陵町にて継続開催されている地域巡回型健康教室「広陵元気塾」の推進をはじめ、プロのトレーニングメニューとの掛け合わせによる健康増進イベント「骨折0(ゼロ)のまちキックオフイベント」の実施を行いました。今回のイベントには地元の畿央大学も参画し、科学的な測定も取り入れた内容となっています。関西の地域と大分県のプロスポーツクラブという異例の組み合わせは、官民共創プラットフォーム「逆プロポ」を通じて、両者が出会ったことで実現しました。ここからは、それぞれの視点から、イベントで創出された価値について振り返ります。

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目次

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BEFORE困っていたこと

募集企業

株式会社
大分フットボールクラブ

代表取締役:小澤 正風さん

Jリーグクラブで培ったノウハウを活かし社会貢献を考えるも、自治体とのリレーションを築けず。

大分トリニータは1994年のチーム発足以来、県民、企業、行政が三位一体となって力を合わせて地域で成長してきたクラブです。これまで、Jリーグに所属するクラブとして、スポーツを通して地域の発展、社会への貢献に日々努めてきました。例えば、私たちにはプロ人材を育成するためのノウハウや、健康増進のためのプログラムがあります。主たるサッカー事業で価値提供することはもちろんですが、これまで培ってきた知見やノウハウが、人づくりや健康増進など、国の課題解決に活かせるのではないかと考える中で、パートナーとなってくれる自治体探しを行っていました。しかしながら、これまで地域に根ざしたチーム運営を行ってきた我々にとって、地元以外の自治体との接点が全くありません。より広く私たちの思いを伝えたいと思いつつも、伝える相手である自治体を探す事がとても難しい状況でした。そんな折、官民共創マッチングプラットフォーム「逆プロポ」の存在を知りました。

応募自治体

奈良県広陵町

けんこう推進課:芝 宏美さん

健康増進を呼びかけるも、企画に参加する住民が偏りがち。無関心層へのアプローチに課題を抱えていた。

広陵町では「骨折0(ゼロ)のまち」というテーマを掲げ、高齢者の転倒(骨折)予防方法の啓発や、健康無関心層への情報発信、健康教室の展開など、様々な施策を行ってきました。しかし、教室などに参加する方がいつも同じ顔ぶれだったり、発信がなかなか広がらなかったりと課題を抱えていました。せっかく教室に参加してくださった方に対しても、お伝えできるのは生活習慣の改善アドバイスです。住民の方たちにとって「言われなくても分かっている」という内容を指導型でお伝えするにとどまっていました。
もっと住民の方々が興味を抱ける健康増進のアプローチはないものかと考えていたところ、企画課から大分トリニータ様のプロジェクトについて情報連携がありました。
プロジェクトの詳細が掲載されている「逆プロポ」を確認してみると、先方が社会に価値提供してくださることの例として「健康寿命増進の取り組み」「介護予防の取り組みメニューの紹介」と書かれていました。
これは私たちの問題意識と一致すると感じ、応募しました。


SITUATION社会の状況

2016年に発表された厚生労働省の国民生活基礎調査によると「要介護」となる要因の約3割を、「認知症」と「骨折・転倒」が占めるとされています。高齢に伴う身体機能の衰えに加えて、認知機能の低下が健康寿命にも直結する課題となっており、脳と身体の機能を同時に維持していく必要性が注目されています。

救急搬送される高齢者の事故原因の内、骨折が占める割合: 82.1 %

骨や筋肉の衰えによって介護が必要になった: 30.0 %

認知症によって介護が必要になった: 24.3 %


PROCESS実際にかかった時間

  1. テーマ
    検討
    2022年8月
  2. 募集
    開始
    2022年9月
  3. 自治体
    決定
    2022年10月
  4. 内容
    打合せ
    2022年11月
  5. 実証
    実験
    2023年3月

RESULTどんなことをしたのか

PROGRAM 参加人数:約100人

  • 「脳トレ」ライフキネティック
  • 骨密度測定(大人のみ)
  • 運動器用さチェック(子どものみ)
  • 握力測定

AFTERどのような結果になったか

募集企業

株式会社大分フットボールクラブ:小澤 正風さん

住民の皆さんの笑顔を見て、スポーツクラブと行政の共創の可能性を感じました。

「骨折0(ゼロ)のまちキックオフイベント」の開催を通じて、スポーツクラブと行政の共創の可能性を感じることができました。今回、我々は広陵町を訪れ、住民の皆さんに「ライフキネティック」というエクササイズをお伝えさせていただきました。これは運動と脳トレを組み合わせたもので、誰にでもできる動きを通じて脳に刺激を与え、脳や神経の機能の向上を促すものです。住民の皆さんはチームのトレーナーと一緒に身体を動かし、楽しみながら参加していました。
今や「健康寿命」というテーマは全国共通です。トリニータの地元スタジアムを訪れるお客様も高齢化が進んできました。スポーツ界も行政も、それ以外の分野もそうかもしれませんが、行き着く先には健康課題をどう乗り越えるか?という問いがあります。悩んでいることは同じなのです。スポーツクラブも行政も、生み出したいのは地域住民の皆さんの笑顔と健康です。そう考えると、連携の可能性は今後も大いにあると思います。
サッカー界において、今回のような地元を超えた自治体連携は初とのことですが、何事もトライしていくことが大事です。事業の継続性という観点で言えば、サッカークラブも主たる事業以外で新規事業の創出が課題になるでしょう。我々は三方良しの精神で社会に貢献できる事業を展開していきたいと思っています。

 

応募自治体

広陵町けんこう推進課:芝 宏美さん

Jリーグチームのネームバリューのおかげで健康無 関心層の参加を促すことができました。

今回開催した「骨折0(ゼロ)のまちキックオフイベント」は、Jリーグチームのネームバリューのおかげで定員いっぱいになるお申し込みをいただきました。町の健康イベントに初参加の方もたくさんいらっしゃり、啓発活動としては大成功だったのではないかと思います。
庁内だけでは、プロのスポーツチームと連携するというアイデアは出てこなかったでしょう。「逆プロポ」という仕組みを通じてつながりができたからこそ実現した企画でした。また、大分トリニータ様とディスカッションをベースに「住民の価値」を掘り下げ、企画を立案できたことも良かったと思います。
イベント中は、プロスポーツクラブならではの健康増進のアプローチを学ばせていただきました。私たちとは全く違うイベントの進行方法や、アイデア・視点を見ることができ、事業の運営ノウハウが広がりました。参加者の皆さんは楽しみながらエクササイズに取り組んでおり、こちらとしても喜びを感じる取り組みでした。

 

協力大学

畿央大学健康科学部理学療法学科:松本大輔 准教授

一連の参画を通じて、子どもたちに「生きた学び」 を提供できた。

今回のイベントには運営側として、理学療法を学ぶ学生たちと一緒に参加しました。学生たちにとって、日頃プロスポーツ選手に関わるトレーナーさんが指導している場面を見ることは大きな価値でした。技術のみならず、住民の皆さんへの接し方や説明の仕方など、座学だけでは得られない「現場の雰囲気」に触れたことは、学生たちに良い刺激を与えたことと思います。地域住民の健康増進に役立てた達成感を、学生たちからは感じることができました。研究機関である大学は、健康イベントに参加した人の属性や、エクササイズを続けた方とそうでない方の分析評価ができます。健康維持には継続的な観察が欠かせません。これまで測定とアドバイスに止まっていたイベントが、継続的なフィードバックを行うイベントに発展すれば、行政の健康増進の取り組みは一歩踏み込んだものになるでしょう。地域と企業と大学が連携した意義のあるイベントだったと思います。

畿央大学健康科学部理学療法学科:野中美佑さん(現3年生、当時2年生)

普段、学校内で先生方の実技を見ることはできますが、今回のイベントのように現場を体験することはほとんどありませんでした。コロナ禍で実地研修が自粛されていたからです。トリニータの皆さんが専門知識を一般の方向けにわかりやすく説明し、フレンドリーに関わる様子を見て、実社会での技術の活かし方のイメージが掴めました。運営側として参加した学生の中には、「プロのJリーグ選手が来るなら」と手を挙げた人もいます。今回のイベントが、より多くの学生にとって地域の健康づくりに貢献するきっかけになりました。地域と企業と大学が連携することの相乗効果を感じる取り組みでした。これからも継続的に住民の皆さんの健康をサポートできればと思います。

 

参加者

奈良県広陵町のみなさん

Jリーグの選手がやっているトレーニングを楽しみながらできて良かったです!

【参加者:10歳 男の子】学校のみんなで競争しながらできたので、楽しかった!難しいやつもあったけど、教えてもらえたらできた!!次はもっと早く出来るようにしたいです!

【参加者:20代 女性】学生時代は部活動で毎日のように体を動かしてましたが、社会人になって、体を動かす習慣がなくなっていたので、良いきっかけになったと思います。次回のプログラムにも参加しようと思いますので、それまでに少し体を動かしておこうかなと思います。

【参加者:40代 男性】子どもと一緒に参加しました。学生時代はサッカーに夢中だったので、Jリーガーがやっているトレーニングを出来る事が嬉しかったです。今のうちから動ける体を維持して、健康な老後を迎えたいと思っています。

【参加者:60代 男性】自分の現在の状態が知れた事がとても良かったです。思っていたよりも測定結果が悪かったので、自分を過信評価していたんだなっと実感しました。。今日、自分の現在地が知れたので、次からは徐々に若返りをすることを目標に継続して頑張りたいと思います。

【参加者:70代 女性】運動らしい運動なんて、もう何十年もしていなかったので、すごく不安でしたが、私達にも出来る種目を準備してもらえたので、とても楽しかったです。体を動かすのは良いものですね。ボケ防止にも効くらしいので、家に帰ってからも続けてみようと思います。


MEDIA外部メディアからの注目

  • 2023年1月19日毎日新聞Read more
  • 2022年12月23日NIKKEI COMPASSRead more
  • 2022年12月25日広陵町議会議員ちぎた慎也公式サイトRead more

POINT本プロジェクトの注目点


逆プロポ

ソーシャル・エックス

代表取締役:伊佐治 幸泰

プロサッカークラブが持つサッカーだけではない価値にフォーカス。大分県のみに拘らない発想が可能性を無限にし、自治体と共に分かりやすいコンセプトを掲げた事が良い官民共創に。

大分FCの既存の枠組みに囚われない発想は本当に素晴らしい考え方だと思います。サッカーでもなければ地元の大分県でもない。そんな大きな発想があったからこそ、動き出したプロジェクトだと思います。また、広陵町が掲げる「骨折0(ゼロ)のまち」というキャッチーで分かりやすいコンセプトにまとめあげていた事にも、凄いなと関心させられました。シンプルな言葉にする事は簡単ではありませんが、そのおかげで多くの関係者と同じ方向を向いて進む事が出来るようになります。今回のプロジェクトでは、そんな双方の素晴らしい部分が組み合わさった結果、畿央大学の協力も得る事ができたりと、大きな広がりに繋がっていると感じます。